言い訳をせず、自分で納得の行く生き方をする ハノイ編

先日、一番日本語が上手なクラスでドラえもんとは何?」と言う授業をしました。 小難しく言うと、ドラえもんを定義せよ」という事になります。

このクラスですが、通常の授業では満足して貰えないので、毎晩、「明日は何のネタで行こうか〜〜」と悩むのです。

以前、インターネットで日本語を教えていた時に感じたのですが、頭の中ではハッキリ理解出来ていても、外国語(日本語)で「それ」を正しい言葉で簡単に説明するのは至難の業なのです。

 

私の好きな映画は、最高の人生の見つけ方(The Bucket List)なのですが、英語で簡単に説明しろ。。。と言われてもね〜〜。

 

ベトナムでもドラえもんは有名で、書店に行けば、ベトナム語版の単行本が並んでいます。 登場人物、時代設定、交友関係、タイムマシン、どこでもドアなど、一通りの要素は誰でも知っています。

 

さて、では「ドラえもんって何?」と質問をします。

 

第一の難関は、猫の形をしたロボット(猫型ロボット)と言う単語が出るかどうか?です。 さすがエリートクラスです。似たような単語を回答する実習生がいました。

さて、ドラえもんの材質は? 何で出来ているんだろう?

特殊な合金かもしれませんが、これは私も知らないので、「金属製」と言う事にしておきましょう。

 

のび太スネ夫ジャイアンジャイ子まで、続々とキャラクターが出てきて、どんな性格か?も答える事が出来ます。

 

思いっきり笑ってしまったのが、ドラえもんの身長です。

「何センチ位だと思いますか?」

「50センチ位だと思います」

 

180センチの八頭身とは言いませんが、のび太と並んでいる絵柄を思い出しても50センチは少々、小さすぎるのでは? のび太が小学生と言う事を考えると、120〜130センチでしょう。

のび太の机の引き出しから???と言う質問を出しました。 何となくは答える事が出来ましたが、過去や未来を行き来できるという事、「タイムマシン」と言う単語は出ませんでした。

 

もう一つ質問を出します。

「もし、タイムマシンで5年前に遡り、5年前の自分に会ったとしたら、何を話す?」です。

 

この質問は結構悩んでいましたね。

「あなたは将来日本に行くことになるので、しっかり勉強するんだよ!」

 

実は、この質問ですが、別の時間に先生方にもしたことがあるのです。

 

「当時は仕事が忙しくて、子供と接する時間が少なかったので、“時間を作って子供と遊んであげてください”」 「大学を中退してしまったので、きちんと大学を卒業してから日本に行くように!」などの答えがありました。

 

一通り、回答が出た段階で、実習生に質問です。 「色々な答えが出ましたが、皆さんの回答に共通していることは?」

 

流石に手を挙げる生徒はいませんでした。

黒板の真ん中に大きく書きます。

 

「後悔」

 

二文字を見て「あ〜あ〜〜!」と理解出来る生徒もいました。

 

学校が用意してくれた、会話チェックの設問の中に 「3年後帰国したら、あなたは何をしたいですか?」があります。

この質問に対して、

「自分の会社を作りたい」 「社長になりたい」

と言うポジティブな回答がとても多く驚きます。

 

今の日本では、なかなか聞くことの出来ない回答でしょうかね。

 

「事を成す」

 

素晴らしい志ですね。

ただ言うのは簡単なのです。 20歳前後の彼らの中には、深く考えずに答えている人も多いでしょう。

 

ただ、今はこれで良いと思います。

 

・初めての飛行機 ・初めての海外 ・外国での仕事

 

これからの3年間の中で、本当にやりたいことが見えてくるかもしれません。

日本での慣れない生活は大変でしょう。 仕事が終わり自分の部屋に戻ってきて、家族と電話で話し、You Tubeを見て寝てしまうのは楽ちんです。

 

ただ、何となく過ごしては、3年間で多少のお金は貯金出来たとしても、日本語を学ぶ絶好の機会を逸してしまいます。 ベトナムに帰ってから改めて日本語を学ぶのは至難の業です。

社長なんて夢のまた夢です。

私の年齢になって、あーーあーーと後悔だけはして欲しくないのです。

 

さて。。。 私はと言うと、現時点で、これっぽっちも後悔していません。 我が母国日本にいた時は後悔のかたまりでした。 毎日、ヘトヘトになり俯いて六本木の街を歩いていました。

 

ただ、送り出し機関で働くようなり、毎日、全開なのです。 全開バリバリなのです。

 

朝から夜の10時まで、少しでも実習生と時間を共有して出来る限り会話する様にしています。

 

通常の学校と異なり、送り出し機関では半年程度の短いスパンで実習生が日本へ行きます。 出国する前になり、生徒から挨拶をされた時に、「彼らに対して、もっと何か出来たのでは?」と何時も思います。

 

機関では、「御年54歳!」の最高齢です。 さて、いつまで全開バリバリが通用するのでしょうか!

「疲れた」とか「だるい」とか言っている場合では無いのです。