ラブホテル街のど真ん中に住む日本人。この状況はちょっと寂しいね。

ベトナム人に、私がホーチミンの2区に住んでいる事を話すと、“わーっ!お金持ち!Thao Dienですね〜”と言われます。 残念でした。 Thao Dienは欧米人が多く住む高級住宅街で貧乏日本人が住める様な場所では無いのです。

 

私が今住んでいるアパートはラブホテル街のど真ん中にあります。 日本で例えると、渋谷円山町か新大久保の様なイメージでしょうか。

見張っている訳ではないので、お客さんが出入りしている様子はあまり見ませんが、時々、バイクの二人乗りで訪れる若いカップルはいる様です。 私の中で、“らぶほてる”と言うとパッと小坂一也さんが思い浮かんでしまいます。 ちょっとくたびれたバーバリーのコートの襟を立て、女性の肩を抱きながらホテルに消えて行く。。。

 

用途が用途だけに、どのホテルも24時間営業で受付のお兄ちゃんが一晩中、歩道に置いた椅子に座っています。 ※日本と違って、部屋の写真が並ぶタッチパネルなんてありませんね。

これだけ、ホテルが並んでいるので、隣り合ったホテルの受付兄ちゃん達も椅子を並べて、一晩中騒いでいます。

 

▼最近不眠症の私が撮影した午前3時の様子です。

煌々と電気がついていて、盛り上がっています。 うるさいの何のって。。。スマホで打ち込み系の音楽を聞いているのですが、イアフォンを使わずに遠慮なくスピーカーで聞いています。

 

大音量の音楽に苦情ひとつ言わないベトナム人は、寛容と言うか、なんと言うか。。。

 

一人椅子に座り客を待っている、スタッフもいますが一晩中ゲームをやっているか?SNSをイジっています。

 

そもそも、この辺りのラブホテルの受付なんて、仕事時間中の90%以上が待ち時間です。 この時間を利用して、語学を学んだり、本を読めばもっと違った生き方が出来ると思うのですが。。。

 

看板に書かれた文字は、ベトナム語が全くダメな私でも何となく、分かります。 1時間で約300円、2時間で400円、泊まり750円の様です。 安い!ですが、バイクで10分も走れば絶対に誰も来ない様な林や畑があるので。。。そっちで事を済ませても良いのでは?と思ってしまいます。

 

自称“ありとあらゆる職業を経験した私”ですが、勿論、ラブホテルでアルバイトをした事もあります。

 

結婚後間もない頃、給料がとても安かった時期があり、家内から、休みの日に何かアルバイトをしたらと言われてしまったのですね。

新聞の求人欄を見ると、ラブホテルの清掃係を募集していました。

 

ホテルまで自宅から車で15分位の距離でしたが、毎週末行くのが憂鬱でした。

 

ラブホテル行ったことありますか? 浴室やバスタブって、どうやって乾かすか知っていますか? シーツを引っ剥がし、一気に水分を拭き取るのです。

 

オバちゃん達で数人のチームを組み、お客さんが帰った途端に部屋に直行!大急ぎで清掃するのです。 廊下で絶対にお客さんと会ってはいけない!と言うルールがあります。

 

数人の清掃班の中でリーダーがインカムを付けており、フロントから指示を貰います。

フロントはホテル中に設置されている防犯カメラを見ながら、清掃班に指示を出すのです。

 

○○号室のお客さん帰ったら清掃に行って!

あっ!ちょっと待った!隣の部屋のお客さんが出てくるから、隠れて!

イモムシ競争の様に一列で廊下をドタバタと移動するのですが、全員、お尻の大きい田舎のオバちゃんです。

フロントの指示で一番先頭のオバちゃんが突然ストップして急に方向転換すると、コントの様に後ろに続くオバちゃんはずっこけます。 私、何時も最後尾にくっついていたのですが、面白いの何のって。。。

 

このホテルでは午前12時に食事タイムがあります。

 

今、考えるとこの上なく貧しいのですが、ホテルは“ご飯”“味噌汁”だけ用意してくれるのです。 おかずは無しです。

 

私は意地になって、ご飯と味噌汁を毎度3回位おかわりしていましたね。 優しいオバちゃん達は自家製のお新香などをご馳走してくれました。

 

私はズルくて、要領が良いのですね。 1週間ほどで清掃係からフロントに昇格?しました。

 

これは、掃除をするよりはるかに楽です。 それに、インターネットなど無かった当時では貴重なHビデオが見放題です。

 

色々なお客さんが来ます。

おいおい、なんでこんな爺さんと若い娘が?とか。。。社会勉強になりました。

 

時々、カップラーメンのオーダーが入るのですが、これは、私が(ヘヘヘ)部屋に(ヘヘヘ)持って(ヘヘヘ)行きます。 カップヌードルにお湯を入れお盆に乗せて部屋に持っていきます。

 

ドアをノックして毎回思うことは“どうか、女の人が出てきてくれます様に!”なのですが、残念ながら毎回、腰にバスタオルを巻いたオッサンが姿を見せます。

さて、そんなある日、最高に面白い事が起きます。

 

ホテル内だけでなく、駐車場にもカメラが設置されており、どんな車が何処に停めたというのもフロントから確認する事が出来ます。 駐車場は暗いので、お客さんの顔は見えません。 お客さんの顔がハッキリと確認出来るのは、入り口に設置されたカメラです。

 

そのカップルが入り口のカメラに映った時。。。

あれ??信二??

 

小学生からの幼馴染の信二に似ています。

廊下の向こうの方からカップルが歩いてきます。

 

フロントの前で立ち止まりました。

 

やっぱり、信二!中島信二だ!。。。と言うのは心の中の声であって、実際にはお互い一言も喋りません。

 

お互い、古い付き合いです。心の中だけで十分会話が出来ます。

私:信二!久しぶり〜

信二:モロヒャン(私のあだ名)なんで、こんな所に居るんだよ〜

私:俺アルバイトしてるんだ。あれ?一緒に居る女性は彼女じゃ無いじゃん。

信二:悪い!黙ってて!

と言うような内容を一瞬で会話したつもりです。

 

中島信二クン:実名を出してごめんね。!でも、いい加減時効成立しているでしょう。

自宅がラブホテル街の中にあって、毎晩、スタッフが賑やかで参ります。。。と言う事を書きたかったのですが、こんなに話しが脱線してしまいました。