男はつらいよ in ホーチミン

昔から“男はつらいよ”が大好きである。

真冬に“背広”と“雪駄”では、生活出来ないので、あくまで、“映画の中の人”なのだが、真っ直ぐな生き方には憧れてしまう。 寅さんと似ている点と言えば、惚れっぽい所と学がない所であろうか。

笠智衆さん演じる御前様の台詞だったろうか?“寅は欲がなく仏に近い” 私は欲のかたまりの様な人間なので、本当の意味で寅さんにはなれない。

シリーズ全作品のDVDが欲しいのだが、ここホーチミンでは入手することが出来ないので、YouTubeにアップされたカットを眺めては勉強?をしている。

もう何十回みただろうか?と言う好きなシーンが幾つかある。

16作品目“男はつらいよ 葛飾立志篇”

小林桂樹さん扮する考古学の大学教授に寅さんが“愛とは何か?”を何時もの名調子で語る。

 

素敵な女性に対して

“あー、いー女だな-と思う”

その次には

“話がしたいなーと思う”

その次には

“もうちょっと長く側にいたいなーと思う”

そのうち、なんか気分が、柔らかくなってさー、あー、もうこの人を幸せにしたいなーと思う。

もう、この人の為ならオレ命なんていらない。もう死んじゃってもいーそう思う。

それが愛ってもんじゃないか?

愛について、まだ、研究していないと言う小林桂樹に対して、実に寅さんらしいストレートな愛情の表現だ。

ホーチミンで暮らすようになって、さて、どうしようか?という時に、“寅さんならどうする?”と考える様になってきた。

 

もう時効が過ぎたので、お話すると。。。。

 

ホーチミンに住み始め、半年が経ったくらいに、ちょっと太めなのだが、明るくて、可愛いーなと言う女性が出来て、話をするうちに、年末実家に帰るが一緒に行かないか?と言う。

 

おっ!いきなり、両親に紹介?まだ、付き合っていないのに、ベトナム女性は積極的だなー ホーチミンから夜行のバスで8時間くらいかかる場所らしいのだが、彼女と一緒なら、大歓迎の8時間である。

 

友達1人も一緒に行くとの事なので、私を含めて3人。

実家へのお土産とバスの中で食べる日本のお菓子をわざわざ、ホーチミン高島屋で用意しました。散財もなんのその。。

 

待ち合わせは午後の8時巨大なバスターミナル。

 

バイクタクシーのおじさんに、バスターミナルの住所を見せ、自宅から約15分で無事到着。。。入り口で彼女が待っていてくれました。さて、これから8時間の楽しい楽しい旅の始まりです。

ホーチミンに来て良かったなー。。。

ターミナル内の待ち合わせ場所まで、一緒に移動。。到着すると、そこに1人の男性が。。

えっ!?

一緒に行く人って、女の子じゃないの?

 

確かに、女の子だなんて、彼女は一言も言っていませんでした。 バスの中で食べようと思って買った物も、女の子2人を予定したスイーツです。

 

一旦、気を取り直し、沈め、冷静に考えました。

 

“この人は恐らく幼馴染か何かだろう。。”

 

まあ、オレには関係のないこと、こっちは、8時間後に彼女のご両親に挨拶をしなくてはいけません。

 

と、ここで衝撃の光景が。。。

 

彼女と“この人”が水のボトルを回し飲みしているではありませんか。。。

活字にすると、“ガーン!。。”です。

 

旅行が決まって、ウキウキ気分で過ごしていた、数日間がガラガラと音を立て崩れて行きます。 食欲は全くなくなり、一緒に仲良く食べようと思った、スイーツも二人にあげてしまいました。 この惨劇?をこちらで世話になっている、阿部さんにメッセージで送ると、“帰ってきちゃえ!”との事。 確かに、この段階で明るい未来計画が崩れてしまったので、8時間もかけて旅をする理由が無くなってしまいました。

 

さて、寅さんならどうする?

ここで、怒って帰ったりはしないでしょう。 心の中では泣きながらも冗談を言い、3人仲良く旅をする事でしょう。

結局、寅さんの教えに従い、彼女の実家に行ってきました。

旅行中に彼女から聞いたのですが、彼氏とはもう3年付き合っているそうです。どうやら、半分同棲もしている様です。真面目で素晴らしい彼氏です。

本来の目的はスタート時に一瞬で消え去ってしまいましたが、とても、楽しい旅行でした。 彼女の家族、親戚にもとてもお世話になりました。 その後、彼女が実家に帰る時に、持ちきれないほどのお土産をプレゼントしました。

さて、現在、素敵だな~と思う女性がいるのですが、“寅さんならどうする?”