年代物の漆器の器を割って、殺されそうになる!やばい話第二弾!期間限定公開!

朝、サンドイッチを食べたきりだったので、夕方になると流石にお腹が空いてきます。 毎度お馴染みの店にビフテキを食べて行ってきました。

オヤっ?珍しい、欧米人のお客さんがいますね。 今日は、私、唯一の外国人客ではありません。

この外人さん、フーティウを食べ始めたのですが、ずーっと、スマホをイジっています。 フーティウの美味しい食べ方。。。なんて、サイトを見ているのだったら、分かるのですが、そうでも無さそうです。 食べる時は、料理をしっかりと目で見て、美味しいな〜と感じながら食べなくては損ですね。

私は“ココ”と数軒隣の店の合計2店しか行かないので、何時も、友人の原田さんに味音痴とバカにされるのですが、集中して食べていると、その都度、“今日のいんげんは柔らかいな”とか、“スープがこれまでで一番美味しい!”とか、発見があります。 なので、食べる度に幸せになってしまうのです。

 

日本に住んでいた時に、ある料理店の手伝いをしていた事があります。 ※ヘタにキーワードを書いてしまうと、検索でバレて非常にマズい事になるので、Aさんとか某所などが連発されますが、お許しください。。。

 

Sさんと言う、料理人と出会ったのは、友人から、“Sさんが銀座に京料理店を作るので、websiteやメニューなど手伝って!”と言われたのがきっかけです。 オープンする事はしたのですが、地下にあるその店は、下水の処理がうまくいかず、店内はいつも“ドブ臭い”と言う料理店としてはあり得ない状況。。。 結局、数カ月後に閉店する事になってしまいました。

 

Sさんはその店以外にも、港区内に2店舗、京料理のお店を持っていました。

 

本店と支店と言う扱いだったのですが、本店は何と皇室御用達で、政治家や著名人もお忍びで利用する様な高級な料理屋でした。 政党を問わず歴代の首相も必ず来店していました。 塩爺こと、塩川正十郎さんにも良く足を運んでもらい、“ここの店主は魯山人のお弟子さんかな?”と話していました。

 

Sさんなのですが、料理の鉄人にも出たことがあるのですよ。。。 食材とどの鉄人に挑戦したか?書いてしまうと、バレてしまうので、内緒ね。。。 その、鉄人との対決にも、とんでもない裏話があるのですが書けない。 そもそも、尊敬する小山薫堂さんがプロデュースだしね。

 

銀座のお店を閉めてから、私は本店の手伝いをする事になります。 当時は綺麗な女将がいて、接客や予約の管理をしていました。 このグレードの店になると、お客様台帳があり、“このお客様は、前回、○月○日に何人で来て、何を食べ、何を飲んだ”のか全て記録を残すのです。 そして、前回と料理が重複しない様に全ての献立を変更するのです。 この女将ですが、色々と問題あり、辞めてしまいます。

 

私は、時々お店に行き、websiteや名刺のデザインを小さな事務室でちまちまと作業をしていたのですが、そのうち、予約を管理する様になったり、バックヤードで皿洗いをしたり、いつの間にか、段々と仕事が増えて行き、とうとう、正式に働く事になってしまいました。

スキンヘッドのオッサン女将の誕生です。

作務衣を着て、頭には和手拭を巻きました。 何と言っても、超高級料理店です。 食材の用意があるので、完全予約です。 お客様の来店時間の少し前に、玄関で正座をして待機をします。 ガラガラと重い引き戸が開くと同時に、深々と頭を下げ、“いらしゃいませ”と挨拶をするのです。

 

部屋は完全に個室です。それも、ご丁寧に、2重に引き戸があるのです。

 

さて、女将業なんて、皆さん、知りませんね。

何が一番、難しいか?

丁寧な言葉で話すとか、失礼の無いように。。。なんて事は当たり前です。

 

一番気を使うのは、料理を出すタイミングなのです。

 

先付けからスタートして、向付・・・水物まで続くのですが、食べている様子が見えれば、“そろそろ食べ終わるから、向付お願いしま〜す!”と調理場に声を掛けることが出来ます。

ただ、お客様は扉の向こうで食事をしています。 客間では話に夢中になって、料理に手を付けていない? 美味しいので、あっという間に食べちゃった? が分からないのです。

では、どうやって判断するのか? 来店時の雰囲気とメンツですね。 仲間同士の会食なのか?接待か?で段々と扉の向こうが見えてくる様になります。

おまけに、お酒にも気を使わなくてはいけません。 ビールは切れていないか?お酒を切り替えるタイミングは?この料理にはどんな、日本酒が合う?なんて質問までされます。

 

これが、お客様一組分ですね。

時々、満室になる事がありましたが、そうなると、5部屋同時進行で気を使わなくてはいけません。 それに、料理のグレードによって、料理の品数も変わるのです。

○○の間では10分前に焼き物を出したから、そろそろ、次を調理場に声を掛けなくちゃ! 毎晩、閉店と同時にグッタリ・・・

 

今では絶対に無理ですね。。。良くやっていたと思います。 こんな見てくれですが、接客は好評で、Webに“男性スタッフの接客は秀逸である”と書かれた事もあります。

 

Sさんなのですが、料理に関する拘りは超一流です。ある意味、異常なほど。 例えば、“○○の間”のお客様、何を飲んでいる?と私に尋ねます。 “はい。ビールから辛口の日本酒に切り替えました”

どうするか?

これから出す料理を辛口の日本酒に合う様に、ちょっとだけ、調整するのですね。

 

ある日、七味唐辛子大好きなお客さんが来て、何にでも、掛けてますよ〜と調理場で報告をした所、“そんな客返しちまえ!”と本気で怒っていました。

 

魚は毎日、築地に仕入れに行って、店の裏の水槽に入れていたので、調理するギリギリまで泳いでいたものです。 鯛の刺し身は美味しかったですね〜。賄いご飯で刺し身の端っこを出してくれるのです。

 

当時、私は埼玉から通っていのですが、新宿に午後11時20分頃に到着しないと、終電に間に合わないのです。 さっと食べて、さっと帰ってくれるお客さんばかりではありません。 終電の時間が迫ってくると、Sさんは、諸川さんもう、帰ってい〜よ。と言ってくれるのですが、そういう訳には行きませんね。 お客さんが帰った後、片付けをして、部屋に掃除機をかけると、もう、真夜中です。

 

客間の一室を借りて、ゴロッと横になります。ベッドやソファなんて物はありません。高級そうな分厚いカーペットの上に寝るのです。 確か、2日連続で泊まった時もありましたね。 風呂にも入らずに汚いですね。

 

料理が一流なら、食器も高級です。 美術館、博物館にある様な漆器、食器を惜しげもなく使います。

なかでも、使い終わる度に桐の箱に片付ける、年代物を漆器がありました。 ある、満員御礼の日、本当に忙しくて、料理を持って走り回っていました。

食べ終わった、器を持って、調理場に入った途端に、重ねた器のバランスが悪く、漆器が転げ落ちてしまいました。

“カシャ!”

 

普通、“パリン”とか、“ガチャン!”と音がすると思うのですが、何と行っても年代物の漆器です。 頼りなく“カシャ!”と音がして、大きく割れてしまいました。

“マジでヤバッ!!!”

咄嗟に隠そうとしたのですが、時すでに遅し。。。 料理人さんに見つかってしまったので、洗い場に置いて、急いで、その場を立ち去りました。。。。 後ろから聞こえてくるのは。。。。

“諸川の馬鹿野郎!ぶっ殺してやる!!”

Sさんですが、怖い人なのです。 ※Sさんの過去についても、書こうと思ったのですが、ヤバすぎるので、又の機会にしますね。

プロボクサーで剣道の達人、棒っ切れを持たせたら、100対1の喧嘩でも勝つくらいです。(実話あり) この時以外でも、2回ぶっ殺すを言われた事があり、その度、漏らしてしまいそうになります。

 

そのSさんですが、現在、香港で料理屋を開いています。 斬新な料理アイデアが豊富なので日本より海外の方が合っていると思います。

 

何回か殺されそうに?なりましたが、なんとも、このSさんの事が好きなのですね。 Sさんも私には何故か、敬語を使ってくれます。

 

数ヶ月前ですが、メールを貰いました。。。

諸川さん元気ですか? 彼女と一緒に香港の料理店を手伝ってくれませんか?

 

残念ながら彼女は居ないのです。。。 費用は出すので、一度、遊びに来て下さいとありました。 なので、今の生活が少し落ち着いたら、行ってみるつもりです。

 

最後に“オチ”を一つ。。。

 

その後、メールの返信が無い時があり、心配だったので、日本の奥様に尋ねてみました。

 

なんと。。。 香港でバッグをスラれたらしいのですが、追いかけて、捕まえボコボコにしてしまったそうなのです。 鼻と歯、肋骨まで折ってしまい、収監されたとか。。。 海外でもやっていますね〜〜

 

私の過去を振り返ると、こんな事の連続なのですね。 ジェットコースターの様な人生です。

 

又、機会があれば、面白い話を紹介しましょうね。